「かんじんなことは目にはみえない」


これは、『星の王子さま』に出てくる有名なフレーズです。
とても有名な物語ですので、きっと多くの人がご存じでしょう。

先日、ミュージカル映画として制作された『星の王子さま』を観る機会があり、
あらためて本を読んでみました。

この物語は、自分の星を離れてさまざまな星へ旅に出た“王子さま”が、
その様々な体験を地球で出会った“ぼく”に語っていく形で進んでいきます。

その語りの中では、旅で出会った何人もの特徴的な人物が登場します。
彼らはそれぞれが大事なものを抱え、それを守ろうとしているのですが、
その姿が王子さまの目には不可思議に映るようで、色々と疑問を抱きます。

王子さまが抱く素朴な疑問に、大人たちは狼狽させられ、
「大人になればわかる」という返答で切り抜けようとし、
結局、よくわからないまま王子さまは彼らのもとを去ります。

それぞれの人物は誇張されて描かれているように思われますが、
きっと自分も、彼らのような特徴をいくらかは持ち合わせているであろうし、
果たして自分なら、何と応じることができるのだろうか、と考えさせられます。

さて、地球にやってきた王子さまは、さらに出会いを重ねますが、
その中でも、“キツネ”とのやりとりが胸を打ちます。

出会ったばかりの相手がいかにして特別で大切な存在となるのか、
そういうことが端的に表現されているように思われました。

タイトルは、そのキツネから教わった秘密の言葉なのですが、
シンプルなメッセージながら、さまざまに連想されるあたり、
普遍的で、深い意味合いを感じずにはいられません。

目に見えるものに夢中になってしまうあまり、
見えないものに想像を働かせることがおろそかになり、
物事の本質を見誤ることがあるかもしれないこと

歳を重ねることで視野が広がり、色んなものが見えるようになる一方、
それが逆に何かを見えなくさせてしまうことがあるのかもしれません。

『星の王子さま』は、”かつて子どもであった”大人の友人に捧げられました。
大人となった人々の心にこそ響く物語なのかもしれません。

帽子に見えるモノの中にゾウを思い描くこと
想像を豊かに働かせることで、本来の姿に思いを巡らせること
決して簡単なことではありませんが、
そういった感性を忘れず大切にしていきたいと思えました。

そもそもカウンセリングは、目には見えない心を取り扱うものです。
五感から伝わるものだけではなく、その背景にあるものを汲み取ることで
大切なものに近づけるのではないかと思います。

ちなみに、映画版の『星の王子さま』では動物も擬人化されていますが、
なぜか、やたらとヘビのダンスのシーンが長かったです。
そのためか、ヘビの怪しさが存分に表現されていましたが。
ヘビを演じたのは、“ボブ・フォッシー”という有名な人みたいです。
気になる方は、ぜひご覧ください。