イメージの力



国立民族学博物館にて、特別展“イメージの力”を観てきました。
タイトルだけでワクワクしてしまいます。

入口すぐに、世界各国から採集されたたくさんの仮面が壁一面に並べられていました。
思わず声が漏れるくらい壮観な光景で、どこかしら不気味な雰囲気もありました。
大きさや形、かたどられているモチーフも様々でしたが、
何となく地域性が感じられるのも興味深かったです。

距離を超えた多くの地域で仮面が制作されて、
それを用いて儀式が執り行われていたと思うと驚きです。

仮面にはどんな思いが込められていたのでしょうか。
仮面を取り囲む昔の人々の心には、どういった願いが共有されていたのでしょうか。
自然の恩恵への感謝か、自然の脅威に対する恐れか、
ともかく、生きていく上で、儀式が非常に重要な意味をもっていたこと、
そのために仮面はとても重要な役割を担っていたことがうかがえます。

個を消し去って違う存在になるための道具としての仮面
民俗学においては、そういったとらえ方があります。
ライオンやコブラなど、自然の力を体現する動物を模した仮面をかぶることで、
その力をわがものとし、自然の強大さに対峙しようと試みられたのかもしれません。

自然の力を自らの力の一部とすることで、降りかかる脅威に立ち向かおうとした
それは、人類の知恵であり、試みであったのでしょう。
仮面を通じて、いったい何とつながろうとしていたのだろうか
色々とイメージが膨らんでいくのでした。

特別展では、仮面の他に様々なオブジェ、トーテムポールやタペストリーや棺など、
興味深いアイテムを堪能することができました。

国立民族学博物館は、万博記念公園の中にあります。
ひさしぶりにみた太陽の塔も、堂々たる存在感を示していました。
シンプルでありながら飽きのこない不思議なオブジェです。
太陽の塔はトーテムポールと似たような雰囲気が感じられます。
古代から受け継がれた心のあり様と、どこかで通じるものがあるのでしょうか。
勝手な連想がひろがります。