眠れぬ夜に


眠れない夜には何をしていますか。

慢性的な不眠に悩まされている人に限らず、突如やってきた眠れぬ夜に
戸惑うことは誰しもあるのではないでしょうか。

考えることや悩んでいることがあると、色々と思いを巡らせてしまって、
どうしても頭が冴えてしまうことがあります。
特に考え事がなくても、「明日起きれるかな」「次の朝が辛いだろうな」など、
眠れぬ状態に心配事が頭をかすめて焦ってしまうこともあるでしょう。

ともかく、体を休めるときに頭が働いて体が硬くなってしまうと、
うまくリラックスできずに、休息モードに入りにくくなってしまいます。

本来、睡眠は布団に体を横たえて休息できる幸せな時間です。
一日を終えて布団に入る瞬間は心地の良いものです。

横になって体を布団に預けると、体重を支えていた両足の緊張がとけて
じんわりとした感覚を味わうことができます。
眠りに落ちる少し前には、体が布団に沈み込んでいくような感覚がやってきます。
私はこれを “重力からの解放” と勝手に命名しています。

しかし、ときおり、スムーズに眠りに入れないときがあり、
そんな夜は、そういった感覚をうまく感じることができません。
そんなとき私は、体の感覚を探索してみることにしています。
両足の脱力の具合や、肩の緊張の程度、背中に当たる圧力など...

体の感覚を意識すると、そちらに注意が向くためか、頭の回転が体に切り替わって、
結果的に、ああだこうだと考えを巡らせることを止めてしまうようです。
眠るときは考えすぎない方がいいような気がするので、個人的に気に入ってます。

ちなみに心理療法でも、体の感覚に注意を向けることを大切にする方法があります。
フォーカシングや自律訓練法などの心理療法は日本でもよく知られています。
私もカウンセリングで、体の感覚を頼りに心へ近づくことを試みることがあります。
すると、自覚してなかった気持ちや思いと出合うことがあります。
体の感覚が自分を再発見するきっかけとなることもあるようです。

体に伝わる感覚に注意を向けることは普段なかなかありません。
睡眠前に体の感覚から自分を再発見するなんてことは必要ないとは思いますが、
眠れぬ夜、体に伝わってくる感覚に注意を向けてみると、
“重力からの解放” を味わってもらえるかもしれません。