沖縄紀行 その2


ひめゆりの塔に行きました。
きっと、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
そこに隣接されてある平和祈念資料館では、
沖縄戦に動員された学徒たちの当時の状況が
手記を通じて生々しく伝えられています。

沖縄県民の4人に1人が亡くなったという史実だけでも、
沖縄戦の悲惨な状況を想像することは難しくはありません。
しかし、そういう状況が現在の自分と結びつかず、
過去のことのように感じてしまう気持ちもあります。

そんななか、学徒たちが自分と何ら変わらず、
普通の生活を営もうとしていた痕跡を垣間見ると、
他人事ではないような気がしてなりません。

学徒たちの記述に触れていくなかで色々と考えさせられることがありましたが、
その中でも、当時の国を覆う雰囲気が人々の心に強く影響していたこと
しかし、過酷な中でも人間的な優しさを失わずにいられる人もいたこと
そういった人の心の強さと弱さが深く印象に残りました。

来年は戦後70年を迎えます。
資料館の展示からは、戦争に至った人間の内にあるおぞましい狂気が伝わってきます。
人間の理性は、当時に比べてどれほど発達してきたでしょうか。
怒りや不安、悲しみや恨みなど、強い感情がかき立てられると、
理性はまるで大海に浮かぶ小さな船のようにおぼつかないものです。

メディアを通して、人間の狂気が日常の中に潜んでいるのを垣間見ると、
依然として理性が発達の途上にあることを痛感させられます。
その点についても、他人事ではなく自分のこととして肝に銘じ、
自分は大丈夫と過信することなく、謙虚でありたいと思いました。