魔女の秘密



少し前のことですが、大阪で開催されていた『魔女の秘密展』に行ってきました。

絵画に描かれた魔女が展示されていたり、魔術やその道具について解説されていたり、
なかなか興味深い内容でした。

また、“魔女狩り”“魔女裁判”などの悲劇についても紹介されていました。
その中で、魔女たちは、様々な排斥や攻撃を受けたようです。

拷問に使われたとされる道具には生々しい痕跡が刻まれており、
人間が持つ凶暴性を垣間見た思いがしました。

戦争や貧困、伝染病といった社会情勢における不可解な現象の元凶として、
不気味な存在と見なされた魔女たちがその罪を背負わされたこと
それが現実にあったということもまた、人の心の弱さを痛感させられます。

さて、『白雪姫』『眠り姫』など、魔女が登場するお馴染みの物語があります。
ちなみに『ペロー童話集』では、「仙女」であったり、「名づけ親」となっています。

「仙女」は「仙人」の女性版のようなもので、魔女と似たような面がうかがえます。
一方「名づけ親」から、魔法の力はなかなか連想しにくいですが、
名づけることには、きっと魔術的な力が働いていると信じられていたのでしょう。

『千と千尋の神隠し』でも、湯婆婆が千尋に名前を与えて支配したように、
名づけることには何かしら特別な力が伴うのかもしれません。

名を前にして、恐れ慄いたり、呆然自失となったり、あるいは希望を見いだしたり、
名を与える者が与えられた者に特別な影響力を及ぼすのであれば、
与える者はその力を自覚し、わきまえることが求められます。

こんな風に言ってしまうと、いささか奇異に思われるかもしれませんが、
たとえば、「名」を「診断」に置き変えてみると、色々と考えさせられます。

名づけることや名づけられること、名を明かすことや名を伏せること、
名のもつ力についてよくよく考えることは、とても大切なことだと思います。

ところで、おとぎ話ではお姫様と魔女という組み合わせがよく見られます。
何か心をひきつける特別な関係があるのかもしれません。
そんなことを考えながら読むと、また違った楽しみ方ができそうです。